夢は現実を反映しているか？夢は現実を改変することもある！

東京スカイツリーがない時代に、スカイツリーの夢を見ることはできません。
夢は、記憶から取り出されるからです。

また、経験が記憶とは限りません。
見たものや、想像で作られるのも、記憶のひとつです。
したがって、空を飛んだり、映画のようなゾンビも夢に出てきます。

記憶以外では、体の感覚が、夢の内容に影響します。
夢は、体の感覚とリンクしているからです。

今回は、夢と現実世界が、どのように関わっているかについて、分かりやすく解説します。

夢では、知らないものを見ることができない

飛行機のない時代に、飛行機の夢を見ることは、不可能です。
もちろん、人間は空を飛ぶことができません。

したがって、空を飛ぶ夢を見るには、「空を飛んでいる景色を想像する」ということが必要です。
これを裏付ける研究報告があります。

この報告によると、1956年から2000年にかけて、空を飛ぶ夢を見る人が増加しています。^{[※参考文献1]}
これは、飛行機で旅行する人が増えたからです。

飛行機に乗ったり、その映像を見ることで、空を飛ぶことが想像できます。
空を飛ぶイメージが記憶されるので、空を飛ぶ夢を見るようになるのです。

音楽に関する夢は、あまり研究されていません。
それでも、ミュージシャンの人は、やはり音楽に関係する夢を見やすいようです。

プロのミュージシャンは、ミュージシャンではない人と比べて、約２倍程度、音楽の夢を見ています。^{[※参考文献2]}

あなたがスポーツ選手であれば、大会前夜に不吉な夢を見たことがありますか？
ケガをしたり、足が動かなかったりする不吉な夢です。

研究報告によると、たくさんのアスリートが見る夢なので、安心してください。^{[※参考文献3]}

こういった怖い夢は、不吉なことを予知するのでも、幸運な未来を予知するものでもありません。

悪い夢は、悪いできごとのシミュレーションである可能性があります。

前述のように「夢は現実を反映している」と言えます。

クルマを運転したことがない人は、クルマを運転する夢を見るのが難しいです。
ゲームをしたり、クルマを運転している映像を見ないと、イメージするのも難しいでしょう。
そのため、夢にも出てこないです。

一方で、タクシー運転手の人は、ブレーキが効かない夢や、事故の夢を見やすくなります。
それは、不安に思っていることが夢に出てきやすいからです。

不安につながるような「感情的なできごと」は、夢に出てきやすくなります。

研究報告によると、最近の感情的なできごとは、夢に出てきやすいようです。^{[※参考文献4]}

現実でサイクリングをして、車輪をすべらしたり、事故になりそうな経験をしたとします。
あなたは、怖い思いをしたでしょう。
これが感情的なできごとです。

そして、自転車でサイクリングをしている夢を見やすくなるのです。

また、感情的なできごとを経験したあとには、感情的な夢を見やすくなります。
例えば、あなたが納得できないようなことがあって、怒っている場合、近日中に怒ってる夢を見る可能性があります。

他の研究では、夕方に怒りを感じた人が、その日の夜、怒っている夢を見やすくなることが見つかっています。^{[※参考文献5]}

夢は、現実を反映します。
しかし、見た目がそのまま反映されるとは、限りません。

夢に出てくる人物を調査した研究報告があります。^{[※参考文献6]}
この研究によると、よく知っている人物が夢に出てきたとき、現実とは違うことが、いくつか報告されています。

以下のようなことは、多くの人が経験しているでしょう。

このように、夢は現実を改変します。
頭の中でイメージできるものなら、イメージと現実がごちゃ混ぜになることがあるのです。

人によっては、知り合いが神のように光ったり、得体の知れないものに見えることがあるようです。
でも、夢の中では、得体の知れないものに見えても、それが知り合いだと認識できるのです。

夢は、現実とリンクしたり、現実を改変します。
とても不思議なので、多くの人は、夢をスピリチュアルなものだと思っています。

なにかの予言だったり、深層心理を表現しているように思えるのです。
しかし実際は、単なる記憶から取り出された視覚情報です。

目をつぶっていても、睡眠時は、脳の視覚情報が処理されています。
これが夢の正体のひとつです。